子どもの「好き」を育てることと、親としての葛藤
専門学校で教員を務める私には、小学生の息子がいます。親として願うのは、「子どもが自分の好きなことを見つけ、伸ばして欲しい」ということ。しかし現実には、「勉強も大切」「早いうちから準備をしないと」と悩むことが少なくありません。
そんな中で手に取ったのが、『「好き」を一生の「強み」に変える育て方』(落合ひろみ・落合陽一 著)でした。本書は、私の子育てに対する悩みに新しい視点を与えてくれました。

「勉強しなさい」を言わない子育てとは?
この本で特に心に響いたのは、「『勉強しなさい』と言わない」という著者の子育て方針です。専門学校教員という仕事柄、「勉強の重要性」を日々感じ、息子にもそれを伝えたいと思う一方で、強制的に勉強させることへの疑問もありました。
しかし、本書ではむしろ「子どもが興味を持ったことは積極的にやらせること」「集中しているときは見守ること」を推奨しています。実際に私が教える学生の中でも、自ら興味を持ち、楽しんで学んでいる学生ほど成長が早いことに気づかされました。
「楽しがる力」が、これからの時代を生き抜く鍵になる
私が特に共感したのが、「楽しがる力」の大切さについての指摘です。AI時代と言われる現代社会では、単なる知識や技能以上に、自ら楽しみながら学び、新しいことに挑戦し続ける力が求められると実感しています。
教育者として、息子にも「楽しがる力」を身につけてほしいと思いますが、それには親である私自身が子どもの「好き」を尊重し、見守る姿勢が重要であると再認識しました。
子どもの「好き」を広げるために親ができること
さらに、本書には具体的な実践例が豊富に示されており、その中で特に参考になったのは、「一緒にやろう」と提案する姿勢です。例えば息子が虫に興味を持ったとき、以前の私は「それは汚いからやめて」と言ってしまいがちでした。しかし本書を読んだ後は、「じゃあ、一緒に調べてみようか」と言えるようになりました。
このちょっとした変化が、息子の好奇心を伸ばし、自分から学ぶ姿勢を自然に育てているのだと感じます。
忙しい親こそ「心の余裕」が大切
仕事柄、時間に追われる毎日ですが、本書が教えてくれた「忙しいときこそ『まあ、いっか』精神を」という言葉も印象的でした。親が余裕を持ち、自分自身が楽しんでいる姿を子どもに見せることで、子どもも安心して自分の好きなことに集中できるようになるのだと感じました。
最終的に大切なのは「子どもが自分の人生を楽しめる」こと
専門学校で教える中でも、「好き」を仕事にしている学生が将来的に強いと感じます。受験や偏差値に一喜一憂するのではなく、「自分の軸」を大切に、自らの興味や関心を伸ばしていく。そのプロセスを支える親の姿勢こそが、子どもにとって最大の支援になるのだと、この本を通じて強く実感しました。
私もこれから、息子が好きなことを見つけ、その「好き」を一生の強みに変えられるよう、親として成長していきたいと思います。
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