子供の認知機能を高めるおすすめスポーツはサッカー? 具体的な練習方法・頻度を解説

子供の運動

子供にとって「スポーツは身体を鍛えるだけ」と思われがちですが、実は運動と脳の発達(認知機能)は深い関わりがあります。特にサッカーは、ボールコントロールや試合展開など複雑な動きと判断を同時に求められるため、脳を活性化させる効果が期待できるスポーツです。今回は、子供の認知機能を伸ばしたい方に向けて、サッカーを取り入れるメリットや具体的な練習内容をご紹介します。


サッカーが子供の認知機能を高める理由

  1. 複雑な動きと判断力
    サッカーでは、ドリブル・パス・シュートのタイミングだけでなく、チームメイトや相手の位置を瞬時に把握し、どのように動けば有利になるかを考え続けます。この過程で、空間認知能力集中力選択的注意などの認知機能が総合的に鍛えられます。
  2. 協調性とコミュニケーション
    試合中はチームメイトと連携しながらプレーするため、他者の動きに合わせた素早い判断が要求されます。相手の動きを観察し、瞬時に進路変更やボールコントロール方法を変えることができれば、協調的な思考力も育まれます。
  3. 楽しさと継続性
    サッカーは「走る・蹴る」だけでなく、ゴールを決める喜びや仲間との連携など、子供にとって興味を引きやすい要素がたくさんあります。楽しみながら続けられることで、長期的な運動習慣になりやすいのもメリットです。

論文からわかった具体的なサッカー練習内容・頻度

ある研究では、9~10歳前後の子供を対象に、約6か月間にわたるサッカーのトレーニングプログラムを実施し、身体的な運動能力と認知機能の向上を確認しました。以下にそのプログラムの大まかな内容や頻度をまとめます。

練習頻度と時間

  • 頻度:週2回
  • 1回あたりの所要時間:合計75分(ウォーミングアップ10分、メイン練習60分、クールダウン5分)
  • 期間:6か月継続

ウォーミングアップ(約10分)

  1. 軽めのドリブル
    • ゆっくり歩きながらボールをドリブルし、足元でのコントロール感覚をつかむ
  2. パス練習(円形パス回し)
    • チームメイトと円になり、軽いジョギングをしながらパスを回す
    • 時には壁に向かってボールを蹴り返す練習を取り入れる

この段階ではストレッチよりも、身体を温めつつボールに慣れることを意識します。

メイン練習(約60分)

メイン練習では、基本技術の習得とゲーム形式の両方を組み合わせて行います。進め方の一例は次の通りです(1回の練習で全てを行うのではなく、適宜ローテーションして実施)。

  1. 個人スキル強化(約10~15分)
    • ドリブルの方向転換、細かいタッチ練習
    • 1対1のボールキープや奪取トレーニング
    • シュートフォームを確認する基礎ドリル(インステップ・インサイドなど)
  2. ミニゲーム形式(約20~30分)
    • 3対3、5対5などの小規模チーム分けで試合を行う
    • コートを小さく設定し、攻守の切り替えパスコースの選択を繰り返す状況を作る
    • 試合形式の中で起こる多彩な状況判断が、認知機能の向上に繋がるポイント
  3. 協調性とチームワークのエクササイズ(約10分)
    • ゴールの数を増やして多角的な視野を持たせる
    • 攻撃側・守備側の人数差を変えて優位・不利な状況を作り出し、素早い判断力を育む

クールダウン(約5分)

  • 軽いストレッチや呼吸を整えるエクササイズ
  • 当日の練習で気づいた点や成果を子供同士・コーチと話し合う

サッカーがもたらす運動面・認知面の効果

  • 運動面
    • 走るスピードや瞬発力:スプリントやアジリティ(方向転換)能力が向上
    • コーディネーション(協調性):複雑な動作を繰り返すことで、バランス感覚や全身の使い方が上達
    • 下半身の筋力:ジャンプ力など、脚力を要する運動においても優位に働く
  • 認知面
    • 視覚的判断の迅速化:動くボールや他のプレイヤーの位置を素早く捉え、瞬間的に次の行動を決める
    • 注意力・集中力の向上:ゴールや仲間、相手選手を意識しながらプレーすることで選択的注意が鍛えられる
    • 計画力や問題解決力:試合の流れを読み、戦術を考えるなど、戦略的思考を磨く機会が多い

サッカーを始める際のポイント

  1. 子供の興味を尊重する
    どのスポーツでもそうですが、子供が「やってみたい!」と思う気持ちが大切。無理強いは逆効果になりやすいので注意。
  2. 楽しさ重視の練習を
    小さい頃は技術の習得よりも、遊び感覚で楽しめるメニューを多めにすると長続きしやすいです。
  3. 安全面の配慮
    成長段階によって体格や筋力の差があるため、適切なサイズのボールやコート、トレーニング量をコーチや親が見極める。
  4. 目標を設定し、振り返りをする
    「次の試合で◯◯ができるようにしよう」など小さな目標を立て、練習後や試合後にフィードバックするとモチベーションが維持しやすくなります。

まとめ

サッカーは子供の運動能力だけでなく、認知機能(注意力や判断力など)を効果的に伸ばすおすすめスポーツです。練習頻度は週2回、1回あたり75分程度を目安に、ウォーミングアップ・メイン練習・クールダウンの流れをしっかり作ると効果的とされています。特に、小さいチーム編成のミニゲームを取り入れることで、判断や視覚的な集中力を鍛えやすくなるでしょう。

子供が興味を持って楽しく続けられるよう、ぜひサッカーを選択肢に入れてみてはいかがでしょうか。スポーツを通して身体面・認知面の成長を同時に促し、のびのびとした未来をサポートしてあげてください。

参考文献:Alesi M, Bianco A, Padulo J, Luppina G, Petrucci M, Paoli A, Palma A, Pepi A. Motor and cognitive growth following a Football Training Program. Front Psychol. 2015 Oct 27;6:1627. doi: 10.3389/fpsyg.2015.01627. PMID: 26579014; PMCID: PMC4621303.

関連記事

子供が運動すると学業成績がアップする?──短い運動が数学や読みの力を伸ばす理由
教育基本法から見る教育の目的とは?子どもの成長段階に応じた教育デザインの重要性

タイトルとURLをコピーしました