子供のスクリーンタイムを減らすには?短期間&目標設定の効果的アプローチ

子供の運動

子供の運動と学力は関連があるといわれています。
また、子供の運動時間とスクリーンタイムにも関連があります。

子供のスクリーンタイムが増え続ける現代、保護者の方にとっては「どうやってスマホやテレビ、ゲームの時間を減らすか?」が大きな悩みかもしれません。実は、世界中の研究や実践的な報告を見ると、「上手な目標設定(Goals)」「フィードバック(Feedback)」「計画づくり(Planning)」などの工夫が子供のスクリーンタイムを減らす効果的な手段として注目されています。ここでは、筆者の考えを交えながら、子供のスクリーンタイム減少に役立つポイントをまとめます。


なぜ子供のスクリーンタイムを減らす必要があるのか?

  • 健康リスク: 長時間の画面視聴(2時間以上/日)は、子供の肥満リスクや睡眠の乱れ、身体活動不足などと関連があるとされています。
  • 生活習慣への影響: スクリーンタイムが増えると、他の大切な活動(外遊び、勉強、家族との会話)が削られやすくなります。
  • 集中力や学習意欲: スクリーンに夢中になるほど、注意散漫になりやすいとも言われています。適切な使い方を身につけるためにも、時間をコントロールする意識が重要です。

効果的な減少策として注目される「Goals, Feedback, and Planning」

近年の複数の調査・実践報告から、「Goals(目標設定)」「Feedback(フィードバック)」「Planning(計画づくり)」の3つを組み合わせると、スクリーンタイムを減らす効果が高まることが示唆されています。具体的には以下のような流れが考えられます。

  1. 目標を設定する(Goals)
    • たとえば「平日は1日1時間まで」「土日は2時間以内」など、家族全員が共有しやすい目標を決める。
    • 子供と一緒に「目標に向けてどんなアプリやテレビ番組を減らすか」「どんな遊びに切り替えるか」を話し合う。
  2. フィードバックする(Feedback)
    • 目標設定後、どの程度守れているかを視覚的(カレンダーやアプリの記録)に可視化する。
    • 週末に「よく頑張れた!」「あと少し伸ばせそう!」などの具体的な声かけをする。
  3. 計画を立てる(Planning)
    • 達成度合いを踏まえ、「次の週はどうするか?」を再度検討。
    • もし達成が難しければ目標を少し下げる、達成できたら新しいチャレンジを加えるなど柔軟に調整する。

これらのステップを繰り返すことで、子供自身が「スクリーン時間を減らしたら、遊びの幅が広がった」「達成感がある」と感じられれば、習慣として定着しやすくなります。


短期集中型の取り組みが効果的

研究では、数週間~数か月程度の短期集中で進めると、子供のスクリーンタイムを減らす成果が出やすいと示唆されています。その背景には以下のような理由があります。

  • モチベーションを維持しやすい: 長期計画ではモチベーションが途切れがちですが、短期間なら「まずは2週間頑張ろう」と取り組みやすい。
  • 計画の微調整がしやすい: 短期で区切ると「うまくいった点・いかなかった点」をすぐに振り返り、次の計画に反映できる。
  • 成功体験の積み重ね: 短いスパンで目標をクリアする経験を積むほど、自信や継続意欲が高まる。

小さな規模からスタートしてみよう

大勢を一度に巻き込んだ大規模な取り組みは、現実的に運営が難しくなることも多いです。まずは家族だけ・近所の友達だけなど、小さな単位から始めてみてはいかがでしょうか。

  • 家族内ルール: 「夜7時以降はテレビやゲームはしない」「夕食の時間はスマホ禁止」など、家庭内で合意を取る。
  • 週末チャレンジ: 友達数人と「土曜日は外遊びだけ」「日曜日はゲーム1時間まで」といった取り組みをシェアする。

これらの「小さく始める」取り組みで成功体験を得られれば、そこから必要に応じて規模や期間を拡大できます。


実践ポイントと注意点

  1. 親自身の態度も重要
    子供にスマホやテレビの使用を制限しようとする際、親がついスマホをいじってしまうのはよくある話です。まずは大人も一定のルールを守ることで、子供への説得力が増します。
  2. 代替活動を充実させる
    単にスクリーンを取り上げるだけでは子供は「暇だ」「つまらない」と感じるかもしれません。外遊び、読書、工作、スポーツなど、面白そうな代替案を複数用意すると「デバイスが無くても楽しい」と気づくきっかけになります。
  3. 客観的な記録をとる
    スクリーンタイムを減らす過程では、家族みんなでチェックリストやアプリで使用時間を記録すると効果的です。「今日はいつもより30分減らせた」など、達成感を得やすくなります。
  4. 無理のないゴール設定
    最初から「いきなりゼロにする」といった極端な目標は失敗しやすいです。子供の年齢や生活リズムに合わせて段階的に目標を設定し、達成を積み重ねていきましょう。

まとめ

子供のスクリーンタイムを減少させるためには、「Goals(目標設定)」「Feedback(フィードバック)」「Planning(計画づくり)」の3つを上手に組み合わせ、短期集中で進めるのが効果的と考えられます。小規模で無理なく始めてみることで、達成感を積み重ねやすくなり、結果的に長期的な良い習慣につながるかもしれません。

ぜひ、ご家庭でも「今週はどう過ごす?」「テレビを見る時間はどのくらいにする?」と子供と話し合いながら、楽しんでスクリーンタイム減少にトライしてみてください。

参考文献:Jones A, Armstrong B, Weaver RG, Parker H, von Klinggraeff L, Beets MW. Identifying effective intervention strategies to reduce children’s screen time: a systematic review and meta-analysis. Int J Behav Nutr Phys Act. 2021 Sep 16;18(1):126. doi: 10.1186/s12966-021-01189-6. PMID: 34530867; PMCID: PMC8447784.

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